定義──SEMIが定める装置・ホスト間通信の標準群

SECS/GEMは、半導体製造装置と工場ホスト(MES/CIMシステム)の間の通信を定めるSEMI(国際半導体製造装置材料協会)標準群の総称です。中身は役割の異なる複数の標準で構成されます。

標準名称役割
SEMI E4SECS-Iシリアル回線での伝送方式
SEMI E37HSMSTCP/IPでの伝送方式(現在の主流)
SEMI E5SECS-IIメッセージの内容・形式(ストリーム/ファンクション)
SEMI E30GEM装置が備えるべき振る舞いのモデル

GEM(Generic Equipment Model)が重要で、単なる電文仕様ではなく、装置の状態遷移(オンライン/リモート等)、イベント通知、変数収集、アラーム、レシピ管理、リモート制御といった「装置としての標準的な振る舞い」を定めます。GEM準拠の装置であれば、メーカーが違ってもホスト側から同じ作法で制御・データ収集ができます。300mm工場ではさらにE40(プロセスジョブ)、E87(キャリア管理)、E90(基板追跡)、E94(コントロールジョブ)などのGEM300標準群が積み重なります。

誤解されやすい点──「古いからOPC UAに置き換わる」わけではない

SECS/GEMは1980年代に起源を持つ古い標準ですが、「レガシーだからいずれOPC UAに全面移行する」という見立ては半導体前工程では現実的ではありません。ウエハ1枚ごとのジョブ制御・キャリア管理・レシピ切替まで含む装置の実行制御はGEM系標準の上に業界全体の実装資産が蓄積しており、置き換えの動機が乏しいためです。一方、稼働解析用の詳細データ収集にはEDA/Interface A(E120、E125、E132、E134等)という別系統のSEMI標準があり、また後工程や周辺設備ではOPC UAや独自プロトコルも混在します。つまり実務は「SECS/GEMかOPC UAか」の二択ではなく、制御はSECS/GEM、分析データは別経路という併用です。もう一つの注意点は、「GEM準拠」の装置でも実装範囲(サポートするストリーム/ファンクション、収集可能な変数)は装置ごとに異なることです。準拠表記だけで接続設計はできません。

実務でこの用語が出てきたら確認すべきこと

  • 装置ごとのGEM実装範囲──接続予定の各装置について、GEM準拠書(GEM compliance statement)を入手し、必要なイベント・変数・リモートコマンドが実装されているかを確認します
  • ホスト側の接続方式──MESが直接SECS/GEMを話すのか、装置接続ミドルウェア(EAP:Equipment Automation Program層)を挟むのか。多品種の装置群では中間層を置くのが一般的です
  • GEM300の要否──300mmウエハ工場・自動搬送前提の工場ではE40/E87/E90等への対応が必須になります。対象工場の自動化レベルで要件が大きく変わります

深く知る

半導体以外でもSECS/GEMは使われますか?

使われます。液晶・有機ELパネル、LED、太陽電池など、半導体装置の系譜にある装置産業では広く採用されています。逆に一般の機械加工・組立工場で登場することはほぼありません。

装置がGEM非対応の場合はどうしますか?

装置メーカーへのGEMオプション追加が第一候補、難しければPLC信号やファイル出力を変換するゲートウェイでの接続になります。ただし変換方式ではレシピ管理やリモート制御まではカバーできないことが多く、要件の優先順位づけが必要です。