定義:製品を構成する材料・部品を階層で表したマスタ

BOM(Bill of Materials/部品表)は、ある製品1単位を作るために必要な材料・部品・中間品を、数量と親子関係(階層)で表したマスタデータです。「製品AはユニットBを2個と部品Cを4個で構成し、ユニットBは部品Dと材料Eからなる」という構造を持ちます。プロセス産業では配合表・処方(レシピ)がこれに相当します。

ERPはBOMを所要量計算(MRP)と原価計算に使い、MESは製造の実行——どの工程で何をどれだけ投入するか、投入されたロットは正しいか——に使います。

誤解されやすい点:EBOMとMBOMは構造が違う

「BOMは設計部門が作ったものが正」と考えると、現場で破綻します。設計BOM(EBOM)と製造BOM(MBOM)は目的が違うからです。

EBOM(設計)MBOM(製造)
構造の単位機能・図面の単位工程・組付け順の単位
含まれるもの図面上の部品副資材・梱包材・治具消耗品も
中間階層機能ユニット工程で実際に生まれる中間品
持ち主設計(PLM)生産技術(ERP/MES)

EBOMからMBOMへの変換(階層の組み替え、工程への割り付け)は誰かが担わなければならない仕事で、ここが属人化していると設計変更のたびに現場との不整合が起きます。さらにMESでは、MBOMの各構成品目をどの工程で投入するか(BOMとルーティングの結合)まで定義して初めて、投入照合やロット追跡が動きます。

実務でこの用語が出てきたら確認すべきこと

  • BOMの正はどこか。PLM・ERP・MESのどこをマスタの発生源とし、どう配信するか。MESで勝手に直せる運用は、原価と現場の不一致を生みます
  • 改訂(リビジョン)の切り替えタイミング。設計変更後、仕掛中の指図は旧BOMか新BOMか。ロット単位の切り替え管理はトレーサビリティの要件そのものです
  • 代替部品の表現。代替可否・優先順位をBOM上でどう持つかは、投入照合の誤止め(正しい代替品をエラーにする)を防ぐ設計点です

よくある質問

プロセス産業ではBOMとレシピのどちらの用語を使うべきですか?

中身はほぼ同じ役割ですが、配合比率・投入順序・工程条件(温度・時間)まで含む場合はレシピ(処方)と呼ぶのが通例です。ISA-88はレシピを階層モデルで標準化しており、バッチ系のMESはこの考え方を前提にしています。

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