定義:人と設備の接点となる操作・監視画面
HMI(Human Machine Interface/ヒューマンマシンインターフェース)は、人が設備・装置の状態を見て、操作を与えるための画面装置およびソフトウェアの総称です。設備横のタッチパネル表示器から、SCADAの監視画面までを含みます。ISA-95の階層ではレベル2に位置し、PLCやDCSの値を人が読める形に変換し、人の操作を制御側へ返します。
かつてはMMI(Man Machine Interface)とも呼ばれ、日本では「タッチパネル」「表示器」という製品名で流通していることも多い語です。
誤解されやすい点:HMIとMES画面は「向いている相手」が違う
どちらも現場に置かれたタッチ画面ですが、比べると別物であることが分かります。
| HMI | MESの現場端末 | |
|---|---|---|
| 向いている相手 | 設備(1台〜1ライン) | 業務(指図・実績・品質) |
| 表示するもの | 運転状態・アラーム・設定値 | 作業指示・手順書・実績入力 |
| 応答時間 | 秒未満 | 秒〜 |
| 使用者の識別 | 不要なことが多い | 誰が作業したかが本質 |
誤解の典型は「設備のHMIにMES機能を足せばよい」という発想です。HMIは設備制御と密結合しており、品目マスタや指図、作業者認証を持ち込むと保守の主体も更新周期も混線します。逆にMES端末に設備操作を持たせると、安全設計(非常停止・インターロック)の責任範囲が曖昧になります。同じ筐体に載せることはあっても、役割としては分けて設計するのが原則です。
ISA-101:画面の「作り方」ではなく「管理の仕方」を定める規格
HMIの設計指針としてよく名前が挙がるのがISA-101です。ISAのISA101委員会のページによると、同委員会は製造用途のヒューマンマシンインターフェースに関する規格・推奨プラクティス・技術報告書を策定する組織で、対象は特に断りがなければ製造業全般です。扱う範囲として、メニュー階層、画面遷移、グラフィックと色の使い方、アラーム、セキュリティと電子署名の属性などが挙げられています。
Yokogawaの解説(規格化の最終段階にあった時期のもの)は、ISA-101をHMIのライフサイクル規格として紹介しています。主な段階は設計(Design)・実装(Implement)・運用(Operate)で、変更管理(MOC)、監査、妥当性確認は全期間を通じて行う作業とされています。文書としては、サイトや企業全体のHMI管理の原則を定める「HMI Philosophy」、特定の制御プラットフォーム上でその原則を実装する方法を示す「Style Guide」、一貫した画面をつくるための部品群「Toolkit」が挙げられています。
| 文書 | 役割 | 決める人の目安 |
|---|---|---|
| HMI Philosophy | 原則と目標。プラットフォームに依存しない | 工場・全社の方針を持つ部門 |
| Style Guide | Philosophyを特定プラットフォームで実装する決まり | 制御システムの設計担当 |
| Toolkit | 画面部品のライブラリ | 画面を作る実装担当 |
要するにISA-101は、色や配置の細則を並べる規格というより、画面を作り、運用し、変更し続けるための枠組みです。表の「決める人の目安」は編集部の整理(推測を含む)で、規格の記述ではありません。
MES画面に持ち込むときの考え方
ISA-101は設備操作の画面を主な対象とする規格です。MESの現場端末に準拠を求める場合は、どの条項を適用するのかを先に決めないと、仕様が空回りします。実務上は、同じ現場に置く画面同士で色・用語・アラームの出し方を揃える「Philosophy」の考え方だけを借りる、という使い方が現実的です(編集部の見立て)。画面の使いやすさの論点は現場端末のUI設計で扱っています。
実務でこの用語が出てきたら確認すべきこと
- その画面の責任者は誰か。HMIは設備・制御担当、MES画面は情シス・生産技術と、保守の所管が分かれているのが普通です。端末台数を数える前に所管を分けます
- 現場の1工程に画面が何枚あるか。HMI+MES端末+帳票用PCと画面が増殖している現場では、集約の要望が必ず出ます。集約するなら「表示の集約」に留め、制御は触らないのが安全です
- 手袋・粉塵・防爆など環境要件。HMIで実績のある耐環境仕様が、MES端末選定の参考になります
- 端末の台数・設置場所・環境条件を要件として書き出す段階では、非機能要件の行を持つMES要件定義書テンプレートが下敷きになります。設備側から値を取りにくい古い設備が多い場合は、古い設備が多い工場のMES選びで接続手段の考え方を確認できます
よくある質問
HMIとSCADAの画面はどう違うのですか?
装置1台に付属する画面がHMI、複数設備を束ねた監視システムがSCADAという使い分けが一般的です。SCADAのクライアント画面をHMIと呼ぶ場合もあり、語としては重なりますが、「単体の操作」か「全体の監視」かで読み分ければ実務上は困りません。
HMIとは何ですか?
人が設備の状態を見て操作するための画面装置とソフトウェアの総称です。ISA-95の階層ではレベル2に位置します。設備横のタッチパネルから、SCADAの監視画面までを含みます。MESの現場端末は、設備ではなく指図・実績・品質といった業務に向いている点で別物です。
ISA-101とは何ですか?
ISAのISA101委員会が策定する、製造用途のHMIに関する規格群です。委員会のページでは、メニュー階層・色・アラーム・セキュリティなどが対象領域として挙げられています。解説では、設計・実装・運用というライフサイクルでHMIを管理する枠組みとして紹介されています。
