定義:制約を考慮したスケジューリングの専門システム
APS(Advanced Planning and Scheduling/先進計画スケジューリング)は、設備・人員・治工具・材料といった資源の能力制約を同時に考慮し、「どの設備で・どの順番で・いつ作るか」まで決めた実行可能なスケジュールを立てるシステムです。日本では「生産スケジューラ」と呼ばれる製品群がこれにあたります。
ERPのMRPが「能力は無限」と仮定して所要量と日付を計算するのに対し、APSは有限能力(Finite Capacity)を前提に、分単位の設備割付と作業順序を導きます。
誤解されやすい点:MRP・MES・APSの三者の分担
| ERP(MRP) | APS | MES | |
|---|---|---|---|
| 決めること | 何をいつまでに・どれだけ | どの設備で・どの順で | 今この瞬間、誰が何をやるか |
| 能力制約 | 原則みない(無限能力) | みる(有限能力) | 実績と現況を反映 |
| 時間軸 | 月〜日 | 日〜分 | 分〜リアルタイム |
誤解の第一は「APSを入れれば計画どおりに現場が動く」というものです。APSの計画は立案時点のマスタ(標準時間・段取り時間・カレンダー)が正しいことを前提にしており、マスタが実態とずれていれば、精緻に見える計画がそのまま精緻に外れます。第二は、MESの作業手配(ディスパッチング)との混同です。計画を作るのがAPS、計画と現場の現況を突き合わせて指示を出し、実績を返すのがMESで、APSの再計画はMESからの実績フィードバックがあって初めて回ります。
実務でこの用語が出てきたら確認すべきこと
- 標準時間・段取り時間のマスタは実態と合っているか。APS導入の工数の多くはマスタ整備に費やされます。MESで実績を取ってからAPSに進む順番のほうが早いことも珍しくありません
- 再計画の頻度と入力。1日1回か、異常時に随時か。随時ならMESからの実績・設備状態の連携が必須要件になります
- スケジューラに求める「正しさ」の水準。順序の妥当性まで自動で求めるのか、計画担当者の判断を支援できれば十分か。後者ならMES側の簡易機能で足りる場合があります
よくある質問
APSとMESはどちらを先に導入すべきですか?
一般論としては、実績データの基盤であるMESが先です。APSの計画精度はマスタと実績フィードバックの質で決まるため、実績が紙やExcelのままAPSだけを入れると、計画と現場が乖離したまま固定されます。ただし計画業務が明確なボトルネックである場合など、APS先行が合理的なケースもあります。
