定義:投入済みで、まだ完成していないモノ

WIP(Work in Process/仕掛品、仕掛かり)は、材料として工程に投入された後、完成品として入庫される前の状態にあるモノを指します。切削途中の部品、組立中のユニット、反応中のバッチ、工程間で滞留しているパレット——これらはすべてWIPです。

MESにおけるWIP管理とは、この「作りかけ」がどの工程に・どの指図で・どれだけ・どんな状態(正常・保留・手直し中)で存在するかをリアルタイムに把握することを意味します。リードタイムの大半は加工時間ではなく工程間の滞留時間であり、WIPの可視化は納期回答と改善活動の土台になります。

誤解されやすい点:ERPの仕掛とMESのWIPは別物

同じ「仕掛」という言葉でも、ERPとMESでは目的も粒度も違います。

ERPの仕掛MESのWIP
目的資産評価(仕掛品勘定)工程統制・進捗把握
単位金額(材料費+加工費)現物の数量・ロット・位置
更新頻度工程完了・月次実績発生の都度
粒度指図単位が多い工程×ロット×状態

ずれの原因は主に3つです。第一に計上タイミング:ERPはバックフラッシュ(完成時の一括計上)を使うことが多く、工程途中の現物を映しません。第二に歩留まりと手直し:正規工程から外れた手直し品・保留品はERPの標準フローに乗りにくい。第三に単位の変換:金額と現物数量の間で丸めが生じます。「合わない」こと自体は正常で、どの時点のスナップショットなら一致すべきかを決めていないことが本当の問題です。

実務でこの用語が出てきたら確認すべきこと

  • 実績の計上点(レポーティングポイント)はどこか。全工程で取るのか、主要工程だけか。細かいほどWIPは正確になりますが、入力・接続コストが増えます。ボトルネック工程と品質分岐点を優先するのが定石です
  • 保留・手直しのWIPをどう表現するか。正常な流れから外れたモノを見えなくしない状態設計が、WIP管理の価値の半分を占めます
  • ERPとの照合ルール。締めタイミングでの突合方法と、差異が出たときの調査手順を稼働前に決めておきます

よくある質問

WIPと在庫(Inventory)はどう違うのですか?

会計上はWIPも在庫(棚卸資産)の一区分です。実務の会話では、倉庫にある材料・完成品を「在庫」、工程の中にあるものを「WIP」と呼び分けることが多く、管理主体も倉庫はWMS・ERP、工程内はMESと分かれます。

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